平成2年8月にオープンした常陸風土記の丘園内には有料エリア(大人310円)があります。その他の園内は駐車場も含め無料ですが、有料のエリアには石岡市内各所から発掘された貴重な品が多く展示されています。是非見学して欲しいと思います。
展示室:春・秋の土日には歴史ボランティアの方が説明をしてくれます。石岡民族資料館の方にはあまり、出土品などの展示はないので、是非こちらへも来て見ていただきたい。
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巴形銅器(古墳時代) ここ風土記の丘が建てられた場所には、縄文時代から歴史時代にわたる宮平遺跡があった。昭和63年から平成元年まで行われた発掘調査により、旧石器時代から奈良時代におよぶ大遺跡であることがわかった。この中でも上の写真の「巴形(ともえがた)銅器」は青銅製の装飾具の1種で、弥生時代後期から古墳時代にかけて作られ、北部九州を中心に見つかっています。東日本ではその出土数はきわめて少なく、大変貴重なものです。用途は盾などにとりつけ魔よけとして用いられたと考えられています。 |
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大珠(東大橋原遺跡):東大橋原遺跡木は、昭和52年から三次にわたる発掘調査により、縄文時代中期の住居跡4軒、土壙48基、古墳時代の住居跡2軒、奈良時代の住居跡1軒などが発見された。写真の大珠(だいじゅ)は翡翠?で、成分などを調べると新潟県で採れるものと一致したとのこと。この当時に新潟方面とも交流があったのではないかと思われている。 |
勾玉(まがたま)(染谷古墳群):染谷古墳群は龍神山麓に広がる古墳群で、現在までに32基が確認されています。そのほとんどは、径10〜
30mの円墳ですが、方墳も造られていたことが分りました。この方墳には、龍神山付近で採取することができる雲母片岩を、箱形に組み合わせて作った石棺式石室に葬られたようです。これは、前方後円墳がもう造られなくなった古墳時代の終わり頃に(7世紀頃)、県内で多く築造されました。
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漆紙文書(鹿の子遺跡):漆紙文書(うるしがみもんじょ)は、奈良時代から平安時代初期(8-9世紀)のもので、役所などから払い下げられた公文書が、漆液を入れた容器のふた紙(落としぶた)として使用されたため、漆が付着して現在に残ったもので、文字は赤外線カメラで判読したものです。(展示品は文字が読めるようにした複製です)
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土製円板(宮平遺跡:縄文時代)
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人面付土器(宮平遺跡:縄文時代) |
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埴輪(丸山4号古墳:ニ子塚古墳):丸山古墳は、石岡市柿岡(旧八郷町)にある古墳で昭和27年、明治大学の後藤守一教授指導の下、発掘調査の結果、前方後円墳で、後方部中央からは、ご遺体を納めた粘土棺が発見され、内行花文鏡をはじめ、銅鏃、勾玉、管玉、小玉、鉄刀鉄剣等多数の遺品が副葬されていた。古墳の築造は、四世紀末から五世紀初頭の頃と推定され、東国地方に於ける貴重な古墳であることが明らかにされた。
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盾(舟塚山17号古墳:古墳時代中期):本盾は表面にうっすらと色彩の跡が残っており、武器として鉄器がこの時代に多く使われていたことを物語っている。また鉄製の甲冑も展示されているのは大変興味深い。やはり砂鉄が大量に採れたのであろう。常陸国が蝦夷からの守りとして、また進出の拠点として重要であったことと、鉄の産出は無縁ではないと思われる。 |
古代家屋復元広場:縄文時代の竪穴式住居、中世の鎌倉・奈良・平安時代の民家、江戸時代後期の長屋門・曲屋などが復元展示されている。民家の茅や麦わらで作られた屋根は、10〜30年程で葺き替えられているとのこと。
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鹿の子史跡公園:常磐自動車道路(高速)建設に伴い発掘された鹿の子遺跡の一部を復元している。鹿の子遺跡は常陸国が北の蝦夷に対する兵器を製造した一大官営工房跡と考えられる大変貴重な遺跡といえる。 |
漆紙文書(うるしがみもんじょ)について:
紙は奈良・平安時代ではまだまだ高級品でした。そのため、すぐに廃棄せず、他の用途に再利用されていました。漆紙文書はこの再利用として漆が蒸発するのを防ぐために、容器の落とし蓋の代わりに使われた紙に漆がしみこみ、腐らずに現在に残った物です。当時の紙は主に役人の公文書などに使われていたため、当時の戸籍などが判明した物です。現存の漆紙文書は久慈郡の内容が多く残されており、現地で漆が生産されていることから、久慈郡で紙が再利用され、その漆が鹿の子C遺跡へもたらされたのではないかと推察されています。
古代の常陸国の人口を推定: 漆紙文書の中に古代の常陸国の良民数書いた物が見つかりました。これにより、奈良時代末頃の常陸国(下総国・陸奥国の一部を含む)の人口は24万人〜26万人位であると推察できるようです。
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その他漆紙文書から分かったこと: ・具注暦・・・日にちの下に吉兆・禍福などを注記してある暦 ・戸籍・計帳・・・律令制の基本台帳。計帳は毎年作成され、個人の年齢や身体的特徴が記載。戸籍は6年毎に作成され、性別・年齢・税負担の有無などが記載されていました。その他、田籍関係の帳簿がありました。 ・兵士帳簿・・・戦争にかり出される兵士が、自分で用意する道具(兵具)の内容を記載した帳簿。 |
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