▼壁面観世音(へきめんかんぜおん)茨城県東茨城郡城里町孫根字観世音

歴史の里ロマン紀行(城里編)>


集落を過ぎ、孫根地区に入ると道が急に狭くなる。そのわかれ道のところに案内板がある。この観音堂の手前はきれいに開けていて、紅葉などもきれいなところであろう。地元では「目つぶれ観音」として知られている。

 

 

 

壁面観世音像 -城里町指定文化財(彫刻)-

 徳一大師の作といわれ、大師がこの地へ来たおり、岩窟の壁面に刻んだとい十一面観世音像で、いざ開眼というときに鶏が夜明けを告げ、一夜の内に刻むという大師の念願が達成できず、ついに未完成におわったものである。そのためこの地では鶏を飼わないという。等身大の安産守護の壁像で毎年3月18日が縁日である。

桂城里町教育委員会

 徳一大師は中国から伝わった法相宗を広め、特に都から離れた東国に来て、筑波山「中禅寺」、会津「恵日寺」などを建立したとされる平安時代初期の高僧である。常陸から会津にかけて、主に山の中腹に修行の寺を建立した。また最澄との論争で有名である。本壁面観世音像を含め、常陸から東北にかけて多くの寺が彫刻が徳一大師によるものとされている。しかし、あまりにも多くのものがあり、その真実は今ではわからない。ここも一夜で彫ると願かけて間に合わなかったとの言い伝えであるが、未完にすることに意味があったと解することもできよう。この辺りでは鶏を飼わないということであるが、もう少し北上し那珂川を越えると養鶏農家は多い。

国この壁面に彫られた像の前に堂宇が建てられており、良く見ることができない。後ろに回って横から壁面のくぼみに等身大の観音像が見える。目が開いていないというがはっきり確認できなかった。