▼西蓮寺(さいれんじ)-常陸高野-▼ 茨城県行方市西蓮寺504

歴史の里石岡ロマン紀行(小美玉・行方編)>


 行方市は鹿嶋と隣接する位置にあり、万葉の時代から霞ヶ浦(香取の海)の肥沃な土地を中心に栄えてきた。ここ西蓮寺に1000年を超える大イチョウがあると聞いてやってきた。場所は石岡から355線を潮来へ向かって進むと霞ヶ浦大橋脇を通り越してすぐである。旧道が平行に走っているが、バイパス側にも細い道だが案内板がある。寺へ通じる道路の入り口には右の写真のように「常陸高野」「山百合の里」の案内板がある。ここの寺は歴史が古く、文化財・史跡も多い。是非訪れてみてください。とても素敵な場所です。9月の三昧会の時は市が開かれ、大変な賑わいを見せていたという。しかし今も少なくなったが市が開かれているという。

天台宗 西蓮寺 (現地説明板より)

延歴元年(783)桓武天皇の勅願により最澄の弟子最仙上人が開山したと伝えられ、俗に常陸の高野山ともいわれる。鎌倉時代の中頃、比叡山の無動寺から慶弁阿闍梨(けいべんあじゃり)が来て七堂伽藍を造営し、京都の曼殊院(まんじゅいん)の門跡忠尋大僧正が、乱をのがれてこの寺に来てとどまり、曼殊院の額を山門にかかげたと伝えられている。明治時代に火災にあい、仁王門と相輪橖(そうりんとう)を残して焼失した。相輪橖は日本三相輪橖の一つで、慶弁が元寇(げんこう)の役の戦勝記念として、信者の浄財によって建立したと伝えられている。(玉造町)

文化財・国指定重要文化財(建造物)

仁王門は、天文12年(1543)建立されたもので、もとは三間一戸の楼門(二階建)であった。天正四年(1576)の修理後、寛政年間(1789〜1801)に楼門の二階部分を取毀して山門(一階建)となった。その後、安政七年(1860)に現在地に移築され、仁王門に改めたものである。三間一戸楼門の一階だけが残されたもので、蟇股(かえるまた)と蓑束(みのずか)の形が特異で室町時代末期特有の地方色をみることができる。

平成11年3月 玉造町教育委員会

境内にあるケヤキの古木

大イチョウ二号(樹齢約1000年)

 

大イチョウ一号(樹齢約1000年)

 

大イチョウ一号と相輪橖(そうりんとう)

国指定重要文化財(建造物) 西蓮寺相輪橖(そうりんとう)

相輪橖(そうりんとう)は元寇(弘安の役)の戦勝を祈念して、弘安十年(1287)に建立したものとして伝えられている。その後、慶長九年(1604)、天保十二年(1841)及び明治三十六年などに修理されている。最近では、木芯の腐朽により橖身が傾斜したため昭和52年解体修理が行われた。この橖は、高さ9.16mで、基壇、橖身、頭部の三つに分けられ、全体として錫丈形をしている。基壇は、石造りで三段に積まれている。橖身は、円柱になっており、木芯に銅板鍛造の筒十個をかぶせ、つなぎ目に帯輪が巻いてある。頭部は五輪塔形で、宝珠に火焔をつけ、それを取り巻く大輪及び大輪に懸かる十二個の小輪からなる。大輪には卍字が飾られている。相輪橖は天台宗の象徴とされるもので、比叡山延暦寺と日光輪王寺のものとならび貴重なものである。(現地案内板より)

茨城県指定有形文化財(彫刻) 木造薬師如来座像

この薬師如来は、西蓮寺の本尊であり、寺伝によれば開基した最仙上人自らが彫ったものとされ、一木背刳(せぐり)造りである。この仏像は高さが150cmあり、目と眉の切り方は大きく、唇は厚くなっている。また、当時平伏して礼拝したためか顔が大きく作られ、両腕も非常に太くなっている。彫りは翻波式の名残をとどめ、彫りの深いところは当時の胡粉が残っている。薬師堂奥の収納庫に安置されている。

平成14年3月 玉造町教育委員会

境内の桜の古木

 

スタジイの古木

 玉造町指定無形民俗文化財 占常行三昧会(じょうぎょうざんまいえ)

 西蓮寺の伝統行事である常行三昧会は、寛治年間(1087〜94)に地元の長者が比叡山より移したものとされ、西蓮寺の末寺、門徒寺の僧侶が常行堂に集まり、9月24日〜30日の7日7夜にわたって堂内を廻りながら独特の節回しで立行誦経する大法要である。初日、中日、末日には、境内で学頭寺の名残を彷彿させる雅な籠行列がみられる。また、「常陸高野」と呼ばれるように、この法要は「仏立て」と言われ、宗旨の別なく近郷近在はもとより遠隔地から新仏の供養に参詣人が訪れる。そして、この期間には現在も市が開かれ賑わいを見せている。

平成17年3月 玉造町教育委員会

 

山百合の里への道にはアジサイと山百合が咲く道を作っていた。

「井上山百合の里」への連絡道

 

向こうの山が「井上山百合の里」(個人所有)

 山全体に約1万〜2万本の山百合が自生する。日本一の自生山百合という。毎年7月の中旬〜下旬に山百合まつりが開かれ、オカリナ演奏(野口さん)なども行われる。期間中は300円を徴収し、環境保全などの費用にあてられる。写真はまつりの1週間前であり、まだユリもつぼみであった。